安井曽太郎YASUI Sotaro1888-1955
卓上静物
- 1950(昭和25)
油彩、カンヴァス
55.0×46.2cm
確かなデッサン力に基づく安井曽太郎の作品。人物像や風景画で特に評価されていますが、静物画もまた清爽な魅力に溢れています。
安井の静物画のなかで、バラに次いでよくモティーフになったのが桃です。器やテーブルはその都度趣向が凝らされアングルも変えられました。これは安井の作画対象が桃だけにあったのではなく、皿や卓、ときには部屋をも含んだ全体の画面構成にまで及んでいたことを物語っています。
この作品では、テーブルの端に置かれた白い皿にピントを合わせるかのように画面が構成されています。皿、テーブル、背景をすべて白色としたことで、色とりどりの桃が美しく響きあい、初夏のみずみずしさが伝わってきます。