国吉康雄KUNIYOSHI Yasuo1889-1953
道化(舞踏会へ)
- 1950(昭和25)
油彩、カンヴァス
122.3×86.1cm
岡山に生まれ、17歳で単身渡米し、生涯アメリカで活動した国吉康雄。憂愁を漂わせた女性像で高い評価を得ていましたが、第二次世界大戦により複雑な立場へ追いやられます。日本人でありながらアメリカを代表する画家の立場を貫き通した国吉が、この戦争で受けた苦悩は画家の作品に暗い影を落としました。
戦後、国吉の画風は大きな変化をみせます。鮮やかな原色を用い、サーカスをモティーフとしたものが多くなりました。見世物小屋でしょうか。舞踏会「BALL」の文字を背に立つ道化の手には小さなピエロが吊り下げられ、無表情な仮面とともに不安感を誘います。アメリカで生きる孤独な画家自身と、仮面をつけた道化の姿とが重ねられ、華やかな虚飾に隠された現代社会の残忍さが描きだされた作品です。
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