熊谷守一 KUMAGAI Morikazu1880-1977
斑猫
- 1962(昭和37)
油彩、板
31.5×40.8cm
形体を簡略化し、明快な輪郭線と色面による独自の様式を生み出した熊谷守一。画風を確立し多作となったのは戦後、70歳を過ぎてからです。
「私は生きていることが好きだから他の生きものもみんな好きです」という言葉のとおり、熊谷守一は鳥や猫、昆虫や植物など身近な自然に子供のような純粋なまなざしを向けました。「熊谷様式」とよばれる描く対象を輪郭線で区切る手法を意図的に行うようになったのは1939(昭和14)年頃からであり、それより前から始めていた日本画の制作が大きな影響を与えているようです。
この作品では、今にも動き出しそうな猫の様子が簡潔なフォルムに凝縮されています。自由で気ままな猫の生き方が自分の性分にあっていたのでしょう。熊谷は繰り返し猫を描いており、主要な題材の一つともなりました。