安田靫彦YASUDA Yukihiko1884－1978

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1959（昭和34）
紙本彩色
55.5×68.1cm

中国前漢・元帝の時代（紀元前1世紀）、ほかの後宮の女達のように画家に賄賂をしなかったため故意に醜く描かれ、貢ぎ物として辺境の地へ送られた絶世の美女、王昭君。

戦後まもなくこのヒロインの題材に取り組んだ靫彦は、昭君を悲劇に屈することなく毅然と運命に立ち向かう女性とすることで、戦後の日本女性のイメージに重ね合わせました。以後も度々昭君を描いており、いずれも靫彦の気品高い作風が彼女の高潔な性格を見事に表わしています。

この作品では、美しく装った王昭君が最後の謁見のため元帝の前へと歩みを進める場面が主題となっています。