横山大観YOKOYAMA Taikan1868-1958
海に因む十題・黒潮
- 1940(昭和15)
紙本彩色、軸
81.6×118.0cm
1940(昭和15)年、紀元二千六百年奉祝の年は大観にとっても画業五十年にあたる記念すべき年でした。そこで、海を主題に描いた十作品と富士を主題に描いた十作品の計20点による<海山十題展>が日本橋の三越と髙島屋で開催されました。一幅2万5千円という当時の破格の高値で全てが買い取られ、大観は売上総額50万円を陸海軍両省に献納、それによって4機の戦闘機が購入されたといいます。
大観が愛国心をこめ心血を注いだこの海山十景は、戦後各々に流転を重ね「幻の名画」といわれています。この《黒潮》は、太平洋の雄々しい波濤と波上に輝く真紅の太陽が大胆な構図で描かれ、海十題のうちでもひときわ簡潔で象徴性の強い作品です。