ジェームズ・アンソールJames ENSOR1860-1949
仮面の中の自画像
- 1899
油彩、カンヴァス
117.0×82.0cm
仮面や骸骨をモティーフにして特異な想像力を発揮させたベルギーの画家アンソール。偉大な先人ルーベンスを彷彿させるこの自画像は、アンソール39歳のときに描かれたものです。
悪意や欺瞞が見え隠れするカーニヴァルの仮面に囲まれ、ひとりこちらをみつめるアンソール。花飾りのついた派手な帽子をかぶり周囲から孤立したその姿は、当時の美術界に対し自己の芸術を貫き通した彼自身を象徴しているようです。
ところどころに散りばめられた花飾りのため、作品全体はどこか祝祭的な印象を与えますが、画面を埋め尽くす仮面がこちら側に押し寄せてくるような異様な雰囲気をもっています。初期に受けたフランス印象主義の影響を消化し、赤色を基調とした奇抜な情景へと仕上げられた本作品は、アンソールの絶頂期を代表する傑作といえます。