本阿弥光悦HON'AMI Koetsu1558-1637
蓮下絵和歌巻断簡
- 17世紀前半(江戸時代初期)
紙本墨書、彩色、軸
33.0×58.6cm
桃山から江戸時代初期にかけての京都を舞台に、書、陶芸、漆芸などさまざまなジャンルで才能を発揮した本阿弥光悦。他の芸術家や職人を育てることにも尽力し、琳派を創始した俵屋宗達などを見出します。
「寛永の三筆」の一人と称された光悦は自由闊達な書風が特徴です。その真骨頂は、自らがプロデュースした宗達との共作による和歌巻でしょう。
《蓮下絵和歌巻》はもとは全長25メートルにおよぶ巻物に『小倉百人一首』が書かれていました。下絵には、蕾をつけ花開き朽ちていく蓮の様子が描かれ、あたかも時の移ろいを感じさせるような巧みな構成がとられています。しかし、前半25首分と後半31首分が関東大震災で焼失し、残りは分断され諸家の所蔵となっています。
この断簡は二首の和歌がしたためられた個所です。墨の濃淡や筆の強弱を駆使した書と、斬新な形で描かれた蓮との調和が琳派らしい意匠性に富んだ作品です。