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歴史を感じる建物やおしゃれな人々、そして芸術。心惹かれるものが多くあるフランス。
この展覧会は、メナード美術館のコレクションからセザンヌやマティス、ブラックといったフランスの美術作品、さらに藤田嗣治や佐伯祐三らフランスに学んだ日本出身の作家たちの作品を、絵画を中心に約80点ご紹介するものです。
時代を力強く生きる女性たちとその装い、街や農村・避暑地の風景、また20世紀に起こったフォーヴィスムとキュビスムという美術革命などをテーマに、フランスという国とそこで展開された芸術をお楽しみいただきます。
作家たちが、フランスのどこに惹かれ、いかに表現したのか。額縁を絵画の中と私たち鑑賞者をつなぐものとして、作品からフランスへと思いをめぐらせてみてください。
会期:2024年7月13日(土)~9月23日(月・休) [8/19に一部展示替えを行います]
Les Femmes
憧れのフランス女性
フランス革命の時に登場した仮想の女性・マリアンヌ。彼女は、現代のフランス共和国を象徴する存在です。マリアンヌをはじめ、魅力的な女性たちはアーティストのインスピレーションを刺激しました。
頬をバラ色に染め読書する姿が、幸福な時間の流れを伝えるルノワール《読書する女》、19世紀はじめころからのオリエント趣味の流れを汲むマティス《ヴェールをかぶった女》、派手な衣装で目を伏せる様子が社会の片隅に生きる者の悲哀を伝えるルオー《女曲馬師》など、額縁のむこうの彼女たちは、ファッションや仕草で、恋物語や神話、時代を表します。そこには現代では考え直されるべきジェンダーなどの問題を読み取ることもできるでしょう。その中で力強く生きてきた女性たちだからこそ、私たちは憧れるのかもしれません。
「Les Femmes-憧れのフランス女性」でご覧いただくのは、そのようなフランスで生きた女性たちの姿です。
Les Paysages
フランス各地の風景
日本の1.5倍ほどの面積でヨーロッパ連合(EU)最大の国・フランス。
この国には、佐伯祐三はじめ多くの人々が憧れたパリのような都市あれば、ドラン《イル=ド=フランス風景》に描かれたような自然もあり、さらには島田章三《寺院の丘》に描かれたモン・サン・ミッシェルのような北西部ノルマンディー地方の神秘的な光景や、クロスが点描で鮮やかに表した南フランスの明るい陽光に満ちた風景など、さまざまな景色をみることができます。古今東西の画家たちは、この国が見せる多様な風景に魅了されました。
「Les Paysages-フランス各地の風景」では、額縁のむこうに広がるフランスの風景を、画家それぞれの表現でお楽しみいただきます。
La Libération
フォーヴとキューブ:ふたつの解放
1874年、「印象派」の名の由来となるモネの作品がパリのグループ展、いわゆる第一回印象派展に出品されてから今年で150年が経ちます。この間、フランスは芸術の中心地のひとつとして、さまざまな芸術を生みました。とりわけ、19世紀後半から20世紀初頭にかけては印象派を出発点として、ポスト印象派、新印象派、そして従来の絵画の決まりごとからの解放となるマティスらによるフォーヴィスムとピカソやブラックによるキュビスムというふたつの革命がおこりました。
「La Libération-フォーヴとキューブ:ふたつの解放」と題したこの章では、フォーヴィスムとキュビスムの画家たちによる作品、また彼らに影響を与えたポスト印象派のセザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンの作品をご覧いただきます。
L’Étranger
異国の地で出会った美術
現在、日本からフランスへ行くには飛行機で半日ほどですが、岡田三郎助が第一回文部省留学生としてこの国に渡った1897年には、船で1ヶ月以上もかかりました。フランスはまさに遠く離れた異国の地だったのです。
しかし、この遠い地へと渡り、芸術の精神(エスプリ)を感じ、自身のものとしようとした日本人は多く、藤田嗣治によれば1920年頃のパリには500人もの日本人芸術家がいたといいます。少しオーバーに語られているとしても、洋画家たちの経歴をみれば、その多くがフランスへと留学したことがわかります。
「L’Étranger-異国の地で出会った美術」では、岡田や藤島武二、高村光太郎といった第一次世界大戦以前にフランスへと渡った作家たちから、最盛期1920年代の藤田や佐伯祐三、第二次世界大戦後の金山康喜、そして現在もフランスで制作を行う鈴木宗樹まで、フランスへと渡り美術を学んだ日本人の作家たちの作品を紹介します。
メナード美術館 初公開コレクション
鈴木宗樹 (1955-)
《Le paradigme de la transparence.
23. T. T. -1》
制作年:2023年
形質:アクリル絵具、アクリル板
サイズ:径87.0cm
愛知県立芸術大学で油彩画を専攻した鈴木宗樹(名古屋市出身)は、1990年にフランスに渡り、現在はベルサイユに在住して制作を行なっています。
フランス語で「透明性の在り方」と題された本作は、「透明の美しさをみせるための表現の一つ」として作家が長年追求しているテーマによるものです。白を基調に色や太さが変えられた線が透明な板の表裏に引かれており、それが奥の板に映るという構造となっています。鈴木の繊細な感覚が、フランスという地でさらに研ぎ澄まされてできたこのシリーズ。透明により生み出される階層に気がつくとき、鑑賞者は視覚的な喜びを得ることとなります。
※ 展示内容は変更になる場合がございます。ご了承ください。