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歳時記とは、季節の年中行事や自然を記し、俳句の季語を解説、分類した書物のこと。古来より四季に親しんできた日本の人々は、四季折々の自然の姿を掛軸、屏風、工芸などに描きとめ、季節の装いとして室内を飾りました。「歳時記」と題した本展は、一年間に季節にあわせた全三回の展覧会を開催し、コレクションが見せる季節の情景、移ろいを、歳時記をめくるようにお楽しみいただきます。
第二回「歳時記 風薫る夏」では、さまざまな夏の姿を日本画、日本洋画、工芸作品約60点からご覧いただきます。「風薫る」とは夏の季語の一つで、新緑の季節に若葉の中を爽やかな初夏の風が吹き渡るさまを指します。本展では瑞々しい新緑を思わせる工芸をはじめとして、暑さの中咲き誇る花、山の青々とした万緑の風景や、水辺の涼やかな空気など、さまざまな夏を感じさせる作品を集めました。徐々に暑さが増し移ろいゆく季節の情景をどうぞご覧ください。
会期:2024年4月13日(土)~7月7日(日)
[一部展示替があります] 前期展示 4/13 - 5/26 後期展示 5/28 - 7/7
展示構成
緑さす
若葉に日が射し、その緑がまわりに照り映えている状態から、初夏のきらめくような若葉の緑のことをいう夏の季語「緑さす」。この章では、新緑を思わせる緑色が特徴的な工芸作品を展示します。木漏れ日や若葉を想像させる加藤土師萌《緑地釉裏金彩壺》や、伸びる草木のような鈴木五郎《織部椅子》など、展示室には夏のあざやかな緑があふれます。
- 鈴木五郎《織部椅子》1995
夏旺ん
夏の季語「夏旺ん」は、「梅雨明け以降の夏の真盛り」のこと。初夏や梅雨を過ぎ、本格的な暑さが到来した夏の頃に特徴的な、自然の中の濃く豊かな色彩、日差しのまぶしさ。この章では、新緑の木漏れ日がきらめく吉田善彦《奥入瀬新緑》に始まり、山の深い緑色を捉えた田渕俊夫《明日香栢森》、明るい夏の日差しと勢いよく流れる川を描いた児島善三郎《渓流》、常夏の国・インドネシアの大地を源泉とする濱田樹里《花潮》など、夏が見せるさまざまな鮮やかさを感じられる作品を中心に紹介します。
- 吉田善彦《奥入瀬新緑》1972
- 児島善三郎《渓流》1937
- 濱田樹里《花潮》2018
田渕俊夫の四季 -夏-
- 田渕俊夫《遠い花火》
2003
日本の四季を色鮮やかに描く日本画家・田渕俊夫。全三回の「所蔵企画展 歳時記」では、それぞれの会期の季節に合わせ、田渕の表現する四季をコーナーとして特集します。
「歳時記 風薫る夏」では、12か月それぞれの風景を表した連作より5月から8月の4点を展示します。《遠い花火》は、真夏の夜の空にカラフルな花火が上がる8月の風景です。山並みと町の明かりから、夏祭りの雰囲気が伝わってきます。約15点の作品から、田渕が切り取ったさまざまな夏の情景をお楽しみいただきます。
涼夏
朝顔を写実的に捉えた速水御舟《朝露》(前期展示)や、鮮やかな緑の映える小林古径《栗蟷螂》(後期展示)。暑い時期に咲く植物や、虫や魚たちの生命感あふれる姿も夏にみられる風景です。また、涼しさを求めることも夏ならでは。「納涼」という夏の季語が指すように、暑さを避けて河原などの屋外に出かけることにも夏の趣が感じられます。「涼しい夏」と称したこの章では、カキツバタや蛍、鮎などの夏を代表する生き物を画題とした作品のほか、前田青邨《激流》、加守田章二《鉢》といった水の流れを描いた作品を紹介します。
- 速水御舟《朝露》1927
- 前期展示
- 小林古径《栗蟷螂》1941
- 後期展示
特集展示 「島田鮎子」
- 島田鮎子《夏に向って》 1995
日常の一場面をモティーフに、微妙な感情の襞を色と形に置きかえて描いた洋画家・島田鮎子(1934 - 2022)。特集展示「島田鮎子」では、初期から晩年までの作品約15点により、その画業をたどります。抽象的にも見える幾何学的な画面構成と、黄色や青、ピンクなど選び抜いた少ない色彩が特徴的な島田の静物画や室内画。画家が身近な空間を構成し彩った作品の数々をご覧ください。
西洋絵画名作選
- パブロ・ピカソ
《静物=ローソク・パレットと牡牛の頭》
1938
ゴッホ、アンソール、ピカソなど、代表的な所蔵作品約15点を展示します。
※ 展示内容は変更になる場合がございます。ご了承ください。