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幻想的な世界を描いたシャガール。線と色の調和を目指し、鮮やかな色彩表現を生み出したマティス。宗教や社会の底辺に生きる人々を主題に重厚な作品をつくり出したルオー。20世紀を代表する3人の画家たちが油彩画とともに情熱を注いだのが版画制作です。本展では、三者三様の多彩な世界が広がる版画集10作品より196枚の図版を、前期・後期に分けてご覧いただきます。
4/11(木)-5/19(日) 5/23(木)-6/30(日)
マルク・シャガール 1887-1985
ロシア出身のシャガールはユダヤ人として歴史に翻弄されながらも、妻ベラとの出会いや故郷の思い出などをテーマに愛と幻想に満ちた作品を描きました。
最初に版画を手がけたのは35歳のことです。銅版画にはじまり、さらには最愛の妻ベラの死を乗り越えて初のカラーリトグラフ集である《『アラビアン・ナイト』からの4つの物語》を完成させています。
約2000点もの版画を制作したといわれるシャガールは、亡くなる直前まで版画表現の可能性を追い続けました。
アンリ・マティス 1869-1954
パリの国立美術学校でルオーとともに学んだマティスは、激しい色使いが特徴であるフォーヴィスムの中心的な存在でした。その後も一貫して色彩を追求しカラリストとしての本領を発揮しています。
マティスは30歳で版画を始めていますが、まとまった制作となったのはフランスの詩人、マラルメ『詩集』(1932刊)の挿絵でした。晩年にはマティスの主要な表現方法となった切り紙絵をもとに版画集《ジャズ》が刊行されました。
切り紙絵の持つリズム感と鮮やかな色彩のイメージがそのまま生かされた版画です。
ジョルジュ・ルオー 1871-1958
出身地のパリでステンドグラス職人として修業を積み、その後国立美術学校に学んだルオー。道化師や聖書などをテーマに深い聖性を感じさせる作品を残しました。
黒く重厚な線や内側から発光するような色を持つ彼の作品には、ステンドグラスの輝きに似た魅力があります。それは40代で本格的な構想が始まった版画集《ミセレーレ》にもみられ、モノクロームの世界に印象的な光を出現させています。ルオーは油彩画のみならず、版画を重要な表現手段として、その制作に力を注ぎました。
主な展示作品
マルク・シャガール
《ダフニスとクロエ》
1957~60/1961刊 エーゲ海の豊かな自然を舞台にした、少年ダフニスと少女クロエの初恋物語。 |
《『アラビアン・ナイト』からの4つの物語》
1946/1948刊 シャガール初のカラー・リトグラフ集。魔法と冒険の不思議な物語が展開。 |
《サーカス》
1967刊 華やかさとスリル、そしてシャガールらしい幻想的なサーカスのステージ。 |
《サーカス》
1967刊 |
《神々の大地で》
1967刊 ギリシア文学より。古代神々の世界をおおらかな作風でうたう。 |
アンリ・マティス
《ジャズ》
1947刊 切り紙絵をもとにしたリズム感あふれる形と色の世界。 |
《ジャズ》
1947刊 |
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ジョルジュ・ルオー
《サーカス(シュアレス版)》
1930 生涯にわたりルオーが追求したサーカスの華やかな幻影と悲哀。 |
《ミセレーレ》
1922-27/1948刊 「憐れみたまえ」を意味する「ミセレーレ」と「戦争」の二部構成からなる版画集。 |
《流れ星のサーカス》1930-36/1938刊 装丁本 サーカスに生きる人々の姿がルオーの詩とともに表される。 |
《流れ星のサーカス》1930-36/1938刊 装丁本 |
《パッション(受難)》1930-36/1939刊 装丁本 キリストの「受難」にとどまらず、人間の生そのものの受難を表現。 |
《パッション(受難)》1930-36/1939刊 装丁本 |
《悪の華 1936-38》
1936-38 フランス近代詩の父、シャルル・ボードレール『悪の華』が題材の作品。 |
西洋絵画名作選
当館のコレクションのなかから西洋絵画の名作を選びご紹介するこのコーナーでは、シャガール、マティス、ルオーの油彩画とともに、3人をめぐる画家たちの作品を中心にご覧いただきます。
フォーヴィスムの画家たちに影響を与えたゴッホやクロス、キュビスムの創始者であるピカソやブラックなど約15点をお楽しみください。
- マルク・シャガール《すみれ色の花》
- アンリ・マティス《コリウール風景》
- ジョルジュ・ルオー《女曲馬師》
※ 展示内容は変更になる場合がございます。ご了承ください。