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1987年に開館したメナード美術館は、2017年10月に開館30周年を迎えました。それを記念し、Ⅰ・Ⅱ期あわせて「30のテーマ」を設定、現在所蔵する1,500余点のコレクションからそれぞれのテーマに合った作品を選び出して展覧会を構成します。代表作品によってコレクションの特徴や美術館の活動を振り返りながら、メナード美術館の魅力を再発見していただけたらと思います。
テーマ16~30で構成する「30のテーマ Ⅱ期」では、日本画や古筆、富士山を描いた作品により新春らしさを高めます。また、コレクションから最大と最小作品を並べて展示する「サイズ」や、「シュルレアリスム」「抽象」などバラエティに富んだテーマでお楽しみいただけます。
16日本の彫刻
木彫、ブロンズ、石彫と、多様な素材を用いて制作された、日本の伝統と西洋の融合した近代日本の彫刻をご覧いただきます。
高村光太郎《栄螺》《鯰》
平櫛田中《霊亀随》
舟越保武《N嬢》ほか
17新春を祝う
毎年欠かさず続けてきた正月2日からの開館。開館30周年の新春は、前田青邨《紅白梅》や橋本明治《銀扇》といった作品で祝います。
前田青邨《紅白梅》
奥村土牛《紅白牡丹》
平山郁夫《紫宮観望》ほか
18サイズ
メナード美術館の最も大きな作品と最も小さな作品が登場。それは、どちらも女性像。その大きさの差を比べてください。
アルベルト・ジャコメッティ《小像(男)》《小像(女)》
キース・ヴァン・ドンゲン《二人の裸婦と風船》ほか
19守り伝える-修復
美術館には「保存・修復」という、作品を後世へと守り伝えていく仕事があります。今回の展示では、当館の作品に施された額替などを例に、軸装や額装が果たす役割をご紹介します。
パウル・クレー《植物のシンボル》
葛飾応為《夜桜美人図》(♢前期)ほか
20魅惑の裸婦
日本人の描くエネルギッシュでありどこか艶かしい美女たちには、日本女性をモデルとし、洋画家たちが取り組んだ試行錯誤の痕が感じられます。
小出楢重《立てる裸婦》
中村彝《婦人像》
岡田三郎助《裸婦》ほか
21古美術
近代以降の作品がコレクションの中心である当館ですが、平安の書や桃山陶、江戸の浮世絵など、古い時代の作品も所蔵しています。
《黄地青花花果文盤「大明正徳年製」銘》
伝・藤原佐理《筋切通切》(♢前期)
葛飾北斎《冨嶽三十六景・凱風快晴》(♢前期)ほか
22富士山
古くから描かれ続けてきた日本の象徴、富士山。横山大観の富士3点をはじめ、画家一人一人の描く富士の姿をお楽しみください。
横山大観《霊峰不二山》
安田靫彦《富士秋霽》
林武《富士》ほか
23日展三山
杉山寧、東山魁夷、髙山辰雄は戦後の日本画壇を代表する画家です。日展で活躍し国民的人気を博した三人は、それぞれの名字にある「山」にちなみ「日展三山」と称されました。
杉山寧《昊》
東山魁夷《曠原(ドイツ、リューネブルガー・ハイデ)》
髙山辰雄《明けゆく時》
24御舟と劉生
西欧の近代美術と東洋の伝統とを巧みに融和し、近代日本画に多くの問題を提起した日本美術院の速水御舟と、洋画革新運動の旗手として日本の油絵に前人未到の境地を切り開いた岸田劉生。同時代に活躍し、近代美術に大きな足跡を残した二人の作品を展示。
速水御舟《紅梅》(♢前期)
岸田劉生《林檎を持てる麗子》(♢前期)
速水御舟《芙蓉》(♦後期)
岸田劉生《麗子微笑之立像》(♦後期)ほか
25海を渡った洋画家
レオナール・フジタ(藤田嗣治)、佐伯祐三ら、フランスをはじめ欧米へと渡った日本人画家たち。そこには、日本人ならではと言える視点が見出せます。
レオナール・フジタ(藤田嗣治)《横たわる裸婦》
海老原喜之助《サーカス》
国吉康雄《女は廃墟を歩く》ほか
26現代作家の個展
当館では、現在活躍中の所蔵作家の個展にも力を入れてきました。これまでに個展を行い、展覧会を飾った大沼映夫、島田鮎子、鈴木五郎、三人の代表作を1点ずつご紹介します。
大沼映夫《作品》
島田鮎子《しなやかな葉》
鈴木五郎《五利部鉦鉢》
27パリにあつまる
20世紀初頭の芸術の中心パリへと周辺の国々から集まる画家たちの作品をご覧いただきます。
ジュール・パスキン《ばら色のリボンの少女》
キスリング《花束》
ライオネル・ファイニンガー《プロポーズ》ほか
28アンソール
画家の最高傑作と言われる《仮面の中の自画像》と晩年の《オルガンに向かうアンソール》が並ぶ、貴重な機会です。
《仮面の中の自画像》
《オルガンに向かうアンソール》
29シュルレアリスム
シュルレアリスム(超現実主義)の作家たちの不思議な世界。そこに描かれるのは、人?鳥?あなたには何に見えますか?
ジョアン・ミロ《絵画》初公開コレクション
ルネ・マグリット《地平線》
イヴ・タンギー《数の忘却》初公開コレクション ほか
30抽象
表現を突き詰めた先にある抽象美術。メナード美術館のコレクションの新たな側面をご覧いただきます。
ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ペインティング》初公開コレクション
ワシリー・カンディンスキー《切片》
アレクサンダー・カルダー《青と赤の上に黒い円盤と黄と渦巻き》
メナード美術館 初公開コレクション
ジョアン・ミロ
《絵画》
制作年:1930
形質:画布に紙貼り、油彩 サイズ:36.0×27.0cm
黒い点が二つ置かれた白い鍵穴のような形と黒い幾何学形を組み合わせ形作られたのは人と思われます。では、その下に描かれる黒と赤の棒、黄や紫で塗られた円形は何なのでしょうか。簡潔ながら謎めいたモチーフが観る者をひきつけます。
茶一色を背景に描かれる、線と色面による記号のようなモチーフ。このような表現は、1925年頃からのミロの絵画の特徴であり、本作はその集大成とも言える作品です。また、キャンバスの目のようなものが浮かぶ紙に描かれていることから、ミロが前年より取り組んでいたコラージュ作品同様、絵肌など表面処理への関心を見ることができるでしょう。
子どもが描いたかのようにさえ思える本作ですが、そこにはシュールレアリスト、ミロならではの絵画表現の追求が見られます。
イヴ・タンギー
《数の忘却》
制作年:1944
形質:画布、油彩 サイズ:33.0×25.0cm
イヴ・タンギーはシュルレアリスムの画家であり、この運動のリーダー、アンドレ・ブルトン(1896-1966)がもっとも重視した画家の一人です。
ここに描かれる、赤や緑の奇妙な有機的物体群はタンギーが1927年頃から生涯をかけて取り組んだモチーフ。それは「〜である」と言語化することができません。
ブルトンの「君の絵画は何なのか?」という問いに対し、タンギーは「小さな白い煙だ」と答えました。現れては消失して行く煙は、まさにタンギーのイメージの特性をよく表すものでしょう。そんなタンギーの絵画には、シュルレアリスムの核心があると言えます。
ゲルハルト・リヒター
《アブストラクト・ペインティング》
制作年:1992
形質:画布、油彩 サイズ:61.7×52.0cm
マルセル・デュシャン(1887-1968)の登場により「絵画は終わった」と言われ、時代はポップ・アート、さらにはインスタレーション・アートへと移行し、アーティストたちはデジタル機器などの新しいメディアによる表現を探求しています。
そんな中、現在もっとも注目されるアーティストのひとりであるリヒターは、「絵画はまだ可能なのか?」と問いながら、絵の具による表現を続けます。「アブストラクト・ペインティング(抽象絵画)」は、1970年代半ばからリヒターが取り組んでいる表現。溶けるようにして表れる虹色の美しい色彩は、どこか風景のようでもあり、網膜に映る光をなぞっているようでもあります。それを前にしたとき、我々の心にはどのような感情が浮かぶのでしょうか。
※ 展示内容は変更になる場合がございます。ご了承ください。