カンヴァスの数センチ上から垂らすように線をひくポアリングという技法を用い、少しの偶然性を帯びた線と現実にとらわれない色で、動物をモティーフとした作品を描く画家・今井龍満(1976年、東京生まれ)。画家である父・今井俊満のもと10代の終わり頃より制作補助をしながら絵画技法や造形意識を身につけ、2008年より画家として制作活動を始めました。
今井にとって美術館での初の本格的個展となる本展は、作品の造形的魅力、制作の根底にある人生観、そしてそれらのルーツを、画家となる決意をする以前の1999年の作品から、本展にあわせ制作される5メートルを超える大作《Dragon》を含む最新作までの約70点でご覧いただくものです。
なぜ「生きるものたち」を描くのか、「偶然を生きる」とはどういうことなのか、今井の一貫したテーマと向き合うこの展覧会。線・色・人生観が「偶然」の名のもと掛け合わされた表現を、さまざまな動物たちの姿を通して、ぜひお楽しみください。
スライドショーの作品:《Lion》《Eagle》《3 Piglets》《Koala》《Cheetah》《Woman》《6 Goldfish》《Manatee》
展示構成
Prologue プロローグ
フラットな背景とぐにゃりと曲がった足が、まるで飛んでいるかのような躍動感を与える作品。現実にとらわれない自由な色づかいの8頭の馬たちが、みなさんを今井龍満の作品世界へと誘います。
Wild Animals ゆれる線×とらわれない色
ゆれる線は野生動物たちに、どこか人間じみた親しみを感じさせる表情や動きを与え、実際の動物たちとは異なる色が、その動物らしさを引き出します。 今井は、この線と色により生き生きと動物たちを描き出すのです。
本展のために制作された新作たち。約10点を今回初公開します。
1999― ルーツ
白い紙に黒い塗料を垂らして描かれたネコやカラフルで個性的な人物像。「30歳を超えるまでは画家となるつもりはなかった」という今井のルーツがこれらの初期作品に見出されます。
今井は、本作にも用いられるマスキングメディウムという技法に新たに取り組み、表現の幅を広げています。
Animals with Humans 偶然を生きるということ
「偶然はコントロールできないものである」という人生観を、今井は動物たちの生に重ねて描きます。イヌやネコ、ヒツジといった人間と関わりながら生きる動物たちを描いた作品には、今井が動物たちに向ける限りなく平等な視線が感じられることでしょう。
愛らしさの中にある鋭さ、どこかもの言いたげな表情、実にさまざまな顔を見せてくれる今井の描くイヌ・ネコたちに注目です。
Dragon
今井がモティーフとするものの中で唯一架空の生き物である龍。
5メートルを超えるサイズも、展示空間にあわせての制作も今井にとって初めての試みであり、制作の新たな可能性をみせる作品です。
西洋絵画名作選 selected by RYUMA IMAI
メナード美術館のコレクションより今井龍満が選んだ西洋絵画作品15点を展示します。
※ 展示内容は変更になる場合がございます。ご了承ください。