過去の展覧会 基本情報 出品作品 見どころ
鮮やかな色彩のリトグラフ、黒の美しさが際立つ銅版画など、版画にはさまざまな技法がみられます。情報伝達の有効な手段として発達した版画は、近代以降、芸術を表現する手段の一つとなり、画家や彫刻家らも積極的に版画制作を行なってきました。近現代の芸術家たちがその魅力にひかれ、刺激を受けた版画の表現。本展では、当館のコレクションから選んだ12人の作家たちによる版画作品の数々をお楽しみいただきます。
展示構成
Ⅰ 芸術家たちとサーカス
現在私たちが知るサーカスは18世紀のイギリスに起源を持ちます。ヨーロッパでは庶民の娯楽として愛され、多くの芸術家たちもサーカスの虜になりました。夢のような表舞台に対して、舞台裏に隠された演者たちの喜怒哀楽が交錯するサーカスは、魅力的な題材だったのです。
ここでは、サーカスに魅せられた画家や彫刻家たちの版画をみていきます。サーカスとともに享楽的な夜の街の演者たちにも関心を示したロートレック、「道化師の画家」といわれたルオー、幼少時からサーカスを愛し作品に残したシャガール、サーカスに登場する曲芸師を主要なテーマの一つとしたマリーニを紹介します。
出品作家:ロートレック、ルオー、シャガール、マリーニ
Ⅱ 日本の画家たちの試み
18世紀末、ヨーロッパでは銅版画のほかに、リトグラフ(石版画)という新たな技法が生まれます。描画をそのまま刷ることができるため、次第に画家たちが積極的に版画に取り組むようになりました。それらの技法は日本にももたらされ、主流であった木版画とともに画家たちにとって重要な表現手段となっていきます。油絵や日本画の制作とともに有意義な仕事として版画を制作する日本の画家たちも現れ、それは現在に続いています。
ここでは、日本画家の髙山辰雄、洋画家の岡鹿之助、小磯良平、島田章三、アメリカに渡りこの国を代表する画家となった国吉康雄ら、積極的に版画やその技法に挑みながら制作した画家たちを紹介します。
出品作家:髙山辰雄、国吉康雄、岡鹿之助、小磯良平、島田章三
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Ⅲ モノクロームの美
15世紀頃にヨーロッパに登場した銅版画は、精密な表現が可能であったことから次第に版画の中心的な技法となっていきます。彫刻するように銅板を削るエングレービング、線を銅板の腐食で生み出すエッチングなど、多様な技法があり、その特徴は紙とインクが生み出す白と黒の美の世界です。
ここでは、版画でも多くの作品を残したピカソ、さまざまな技法による重厚な版画が特徴のルオー、長く廃れていた技法「マニエールノワール」をフランスで復活させた長谷川潔、彫刻家として平面芸術の追求にも関心を寄せ、版画制作に挑み続ける舟越桂、4人による白と黒の競演をお楽しみください。
出品作家:ルオー、ピカソ、長谷川潔、舟越桂
※ 展示内容は変更になる場合がございます。ご了承ください。