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テーブルに置いた花、くつろぐ家族、ポーズをとるモデル。
身近な場所である室内は画家にとって発想の源となる重要な世界でもありました。
この展覧会では、画家たちが描いた「室内」を、メナード美術館の所蔵作品およそ60点によりご覧いただきます。今回は、舞台やレッスン場でのバレリーナをモティーフに優れた作品を残したエドガー・ドガ 《踊り子たち》をメナード美術館のコレクションより初公開します。さらに、愛知県美術館の所蔵作品4点が特別出品となります。
室内という限られた空間が、画家たちが描くことで、彼らを中心に広がる宇宙となります。
室内という身近な「小宇宙(コスモス)」をメナード美術館でお楽しみください。
展示構成
Ⅰ 演出された室内
室内の情景は古くから描かれてきました。西洋美術では宗教画や歴史画などを表すための背景であった室内は、19世紀に入り、よりプライベートな場として登場し、画家にとって密接なものとなりました。また、さまざまな芸術運動が起こった19世紀末から20世紀には多くの実験的取り組みが行われ、キュビスムでは、多視点でモデルや静物をとらえた新しい表現を伴う室内空間が生み出されました。
画家は自らの世界観を表すため室内を演出し、絵画のなかに「自分だけの室内」=「小宇宙」を創り上げたのです。
- ジェームズ・アンソール
《オルガンに向かうアンソール》1933
Ⅱ 卓上静物
「室内画」の一部として表されていた「静物画」は、17世紀オランダで絵画の一つのジャンルとして確立しました。近代絵画の父といわれたセザンヌが静物画を生涯描き続けたように、後に続く画家たちにも静物画は主要なテーマとなりました。日本では本格的に油絵が描かれるようになった明治期以降、多くの画家たちが取り組んでいます。
身近なものを意のままに組み合わせて描ける静物画は、画家の意匠や構成力が直接表れるテーマといえるでしょう。どのような静物を選ぶか、卓上という限られた空間にどのように静物を配置するか、画家たちの個性が光ります。
- 小出楢重 《卓上の蔬菜》(ガラス絵)1930
Ⅲ 愛しきものたち
近代になりモティーフが多様化してくるなかで、画家たちは身近なものにも目を向けるようになります。室内では、日々の暮らしのなかで繰り返される家族の営みをみつめています。自らの美意識で集めた好みの家具や調度品を室内に飾り、インスピレーションの源ともしました。愛するものであふれた室内を描くことは画家たちにとっても自然な流れだったのです。家族や友人、こだわりの品々など、さまざまなものが表わされています。
- 島田鮎子 《サティの曲が流れる部屋》2006
メナード美術館 初公開コレクション
エドガー・ドガ
《踊り子たち》
制作年:1893~98頃
形質:紙、パステル サイズ:65.4×54.0cm
スナップショット的構図でパリの都市風俗を描いたエドガー・ドガ。
なかでもバレエの踊り子はドガの心をとらえ、舞台上だけでなく、舞台裏での姿をも数多く作品にしています。
印象派の画家のなかでは珍しく、丹念なデッサンの後、室内で作品を仕上げていたドガは、同じ主題を繰り返し描きました。本作のように、パリ・オペラ座のリハーサル情景をとらえたパステル画は十数点あります。この作品では、線描きのなかに踊り子のフォルムが的確にとらえられ、ドガの世界観が十分に表された作品に仕上がっています。
愛知県美術館 より 4点特別出品
近現代の優れた作品を所蔵する愛知県美術館。
今回は、本展テーマにあわせて代表作4点を特別出品いたします!
とくにマティスや小出
画家の新しい魅力を発見すべく、愛知県美術館の名品をあわせてご覧ください。
- アンリ・マティス 《待つ》1921~22
- エミール・ノルデ 《静物L(アマゾーン、能面等)》1915
- 小出楢重 《蔬菜静物》 1925
- エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー
《グラスのある静物》1912
愛知県美術館蔵
※ 出品作品は都合により変更の生じる場合があります。