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絵画にとって一番大切なのは、その前に立つ人の体験の仕方です。私たちは、絵のほぼ全体が目に入る位置から動くことなく離れてそれを見ることに、あまり疑問を抱くことはありません。でも、画面に対して近寄ったり、遠ざかったりしてみると、絵の表情はいろいろ変わります。そのことによって、画家と世界の新鮮な出会いが身体で感じられます。お話することの焦点は、画面をマクロな視点で見ることと、そのミクロな部分に迫ることの魅力を兼ね備えた絵の面白さです。
16世紀の画家P・ブリューゲルから17世紀のレンブラントやフェルメール、さらに19世紀の印象派の画家たちを見てみても、ただひとつの視点から全体を眺めるのではなく、画面のうえを目が遊び歩くことの楽しさが隠されています。そのことは、西洋絵画だけではなく日本の絵画についても言えそうです。たとえば伊藤若冲の絵には、遠くから見ただけでは気づきにくい鳥が樹木の枝に隠れていたりします。画面を探検する喜びに〈自分の存在〉を見いだす。それが今回のテーマです。
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